
マンション管理士は『トラブル解消のゼネラリスト』
マンション管理士が担う役割は実に多様です。
『これがマンション管理士の仕事』と一言で言いあらわわすのはちょっとむずかしいですね。
強いて言うなら『トラブル解消のゼネラリスト』と表現するのが適切かもしれません。
それではマンション管理士は、いつもトラブルの中に立たされるのでしょうか?
決してそんなことはありません。マンション管理業にかかわらず、“トラブル”への対処法には、それが起こらないよう未然に予防をする方法があります。
お医者さんなら『予防医学』がそれですね。
大事なこと、放っておくと危険が予測されることを、うやむやにせずに前もって手を施しておけば、大病だって避けられます。
マンション管理士にも、そのような気が前とスタンスでお客様(マンション管理組合)と向き合うことが求められています。そして以下が、マンション管理士が具体的にたずさわる要件になります。
<管理組合の運営補助>
- マンションにかかわる相談への指導、助言
- 総会、理事会などの運営
- 管理費、修繕積立金の会計監査
- 空き駐車場などの共有部分の有効活用
- 管理費などの滞納者に対する対応
- 予算案の作成、改定案の作成
- 管理組合広報代行(インターネット活用)など
<管理規約の立案と改正>
- 管理規約、使用細則の原案の作成
- 現行管理規約の見直し
<マンション管理会社への対応>
- 管理会社の業務監査
- 現行管理委託契約の見直し
- 管理委託会社の選定や変更
<修繕対応>
- 長期修繕計画作成の補助
- 大規模修繕工事推進の補助
- 上記に対する勉強会の開催
<住民間のトラブル対応>
- ペット問題
- 騒音問題
- 駐車場問題
- 漏水問題
↓
話し合いをして決めたこと、またそれまでの慣例に見直しをかけたことは、きちんと整理して文書に留める(管理規約の立案と改正)
↓
決定に沿い業者の対応が必要な件については管理組合と業者間の橋渡しをする(マンション管理会社への対応)
・・・と整理して考えるようにすると、多様に思われるマンション管理士の仕事も、一本の線で結ばれてくるのがわかるはずです。
●ハード面とソフト面の2つをサポート
また別の見方をすると、マンション管理士の仕事には「ハード面」と「ソフト面」の2つの役割があることもわかります。
「ハード面」とは、みなさんにも想像しやすい、マンションの建物や設備の管理のことです。
給水設備やエレベーターなどの保守・点検、また大規模修繕などの対応がそれですね。
誤解なさらないでほしいのは、マンション管理士はこれらの作業について、自分から技術的に手をくだすわけではないということ。
実作業はあくまで業者マターで、マンション管理士はそれについての計画・管理を行います。
「ソフト面」の仕事とは、平たく言ってしまうと、ご近所付き合いを円滑にするための働きかけです。
事象としては、これらはペットの問題、騒音問題、ゴミ問題などとして現われてきます。
どのことも、マナーがしっかりできていたり近隣への心遣いがあれば起こりません。もしくは起きてもそんなに問題にならない細々したこともあります。
しかし、近年はこのあたりのことがなかなか難しいですね。
会社でも、ちょっとしたことですぐ「パワハラだ!」なんて訴えられたりする時代です。
しんどい話ですが、建物のことだけではなく、人のナーバスな問題にもマンション管理士は関わらねばなりません。
それで詰まるところ、マンション管理士は『トラブル解消のゼネラリスト』ということなのです。
でも前向きに考えるようにすると、この何でも引き受けるところが、マンション管理士の本当のやり甲斐であるのが事実です。
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